日本の子どもたちへ/陳 富子

みなさん、こんにちわ!
わたしは陳富子です。
わたしは[Like Water Press]という名前の国際NGOの代表をしています。きょうは、みなさんに会いに、仲間と一緒に東京からやってきました。

みなさんは[国際NGO]という言葉を聞いたことがありますか?
[国際NGO]というのは、どこの国で暮らしているとか、どこの国の人間だとかいうことに関係なく、この地球上のいろいろな国で苦しんでいる人たちや、日に日に壊されている自然を守るための、活動をしているグループのことをいいます。
でも、そのような活動をしている人たちは、なにも特別な人たちではありません。
みなさんと同じ普通の人、つまり、市民です。みなさんのお母さんやお父さん、お姉さんやお兄さんのような学生さんたちが、自分から参加してこの世界で起きているいろいろな問題について一緒に考えたり助け合ったりしているのです。 その活動のことを、別の言葉でいえば「ボランティア活動」ともいいます。
わたしたち[Like Water Press]も、そういう活動をしている普通の人たちの集まりです。そのような仲間が集まって、この世界に起きている様々な不幸な出来事に対して、何かできることはないかと話し合った結果、わたしたちは、世界の「難民」の子どもたちのための活動をしたいと考えるようになったのです。



ところで、みなさんは「難民」という言葉を聞いたことがありますか?
いま世界には、みなさんの知らないところで、大人たちが始めた戦争や、雨がまったく降らないために食物が育たなくなって、飢えに苦しんでいる地域や国がたくさんあります。そしてそういう地域や国では、誰もが命の危険にさらされています。そして、そういう戦争や飢饉にがまんができなくなり、大勢の人が、もともと住んでいた自分の国に住めなくなって、他の国へ逃げていかなければならなくなっています。そういう人たちのことを、「難民」というのです。
みなさんも、テレビのニュースで知ったり、お母さんやお父さんからも聞いているとは思いますが、この世界では、日本の外の国でいまも戦争がつづいています。
そのため、たくさんの人たちが殺されたり、傷ついたり、自分の国から追い出されて他の国へ逃げ出して行っているのです。そうして逃げていった「難民」が、この世界にはたくさん生きていますが、そのなかでもアフガニスタンの難民の数が一番多いと言われています。その数は300万人にもなると言われています。その数をみなさんは想像できるでしょうか?



アフガニスタンという国では、25年以上もの間、長い長い戦争が続いていました。ですから、アフガニスタンでは25年も前から難民生活をしている人たちが、いまでもたくさんいるわけです。その人たちは、アフガニスタンの隣の国の、緑も水もない乾いた、人の住めないような大地に粗末なテントを建てて暮らしているのです。そして、そのような難民たちが住んでいる場所を「難民キャンプ」といいます。
この「難民キャンプ」でも、たくさんの子どもたちが生まれました。
キャンプには電気も水もありません。学校さえないところだってあるのです。ですから、そこに生きて暮らしてきた子どもたちは、テレビをみたり、絵本を読んだり、音楽を聴いたりといった経験がありません。なかには、生まれてから一度も、親から物語を聞かせてもらったことのない子どもたちもいるのです。
そのような難民キャンプで生きてきた子どもたちは、どんな夢をみるのでしょうか?
ひょっとしたら、どこまでも続く灰色の砂ぼこりにまみれた荒野や砂漠のほかには、夢をみる材料は何もないのかもしれません。
ですから、わたしたちは、その難民の子どもたちが、自分の夢をみることができるような種(タネ)を届けてあげたいと思いました。

そこで、わたしたちは、いくつかの夢から出てきた物語を創って、アフガニスタンの難民の子どもたちに見せて回っています。そして、このわたしたちの活動を《ファンタジー劇場キャラバン》と呼んでいます。
これから、みなさんに見てもらう映画は、わたしたちが創った『シマウサギの冒険』という物語と、それを見ている難民の子供たちの様子とを一緒にしたものです。

最後に、ここで、なぜわたしたちがこのような活動をしているかを、みなさんに話しておきましょう。
いままでみなさんに話してきたように、この世界には、夢をみることもできない子どもたちがたくさん生きています。わたしたちは、仕事で外国に行ったときに、そんな子どもたちにたくさん出会いました。
そんな子どもたちに出会い、見てしまってきたわたしたちは、そんな子どもたちを忘れることができませんでした。「見て見ぬふりをする」ことが、わたしたちはできなかったのです。
みなさんも、一度見てしまったら、そのことがどうしても気になって、何かをしなくてはならないような気持ちになったりしたことはありませんか?
たとえば、ひとりぼっちで、さびしそうな様子をしている友だちを見てしまったら、何かをしてあげたいと思うでしょう?
粉河小学校の校門にも、こんな標語がかかげてありますね。
………どうしたの? 見ているだけではイジメだよ
これと同じことなのです。
自分が見てしまったことや、気づいてしまったことは、それに対する責任も感じるということなのです。みなさんには、すこしむずかしい言葉かもしれませんが、それを「ヒューマニズム」というのです。



わたしたち《ファンタジー劇場キャラバン》も、そのことからはじまりました。
ですから、わたしたちが《ファンタジー劇場キャラバン》で出会った難民の子どもたちや、その子どもたちに届けてきた夢の物語を、みなさんにもぜひ知ってもらいたくて、わたしは、きょう、仲間と一緒にやってきたのです。
難民の子どもたちのように、わたしたちのファンタジーを見て、楽しかったり、面白かったら、みなさんも声をあげて笑ったり、手をたたいたりしてくださいね。
では、みなさん、わたしたちの夢の物語を、どうぞ楽しんで下さい!
アフガニスタンの難民の言葉では、こう言うのです。
………ラゼィ ズマンガ マゼ ダリィ キセィ オゴレィ!