カブールの幽霊展/長野の展覧会を終えて



2006年7月22日、長野での「カブールの幽霊」展はまず軽井沢からはじまりました。
場所は「チャーチストリート軽井沢/2階特設会場」と「軽井沢絵本の森美術館/庭園」の2箇所、人手不足と豪雨が重なって予定より2日遅れの同時開催となりました。
「軽井沢絵本の森美術館」では幽霊の絵をプリントした手作りのTシャツ50枚を庭園の木々の間に吊り下げ、「チャーチストリート軽井沢」ではTシャツとパネルを交互に展示しました。
今回初めて試みた手作りのTシャツ展示、そのために作成した数は90枚にのぼります。
1m四方に切った白地の布にアイロンプリントした幽霊の絵をプレスし、最後にミシンで縫い上げたものです。幽霊の絵に合わせて糸や縫い方を変えたりなどして、ミシンがけにも遊び心を付け加えました。つまり白地の布をキャンパスに見立てて幽霊の絵を展示したのです。



このアイデアによって「カブールの幽霊」展がより躍動的になりました。とくに美術館の野外展では、「まるでアフガンの子どもたちが木立の中に立っているような」イメージを与えるのに成功したようです。


「松本市美術館」の子供創作館

ついで8月8日、松本での展覧会がはじまりました。期間は10日間、「松本市美術館」の子供創作館でパネル画70枚を展示しました。お盆の時期だったため、前半は人出が少なく美術館自体も閑散としましたが、後半はマスコミの効果も手伝って徐々に人足が増えました。とはいえ、子供創作館は美術館内の一番奥に設置された小さなスペースです。常設展や企画展が行われる本館からも離れているため、人の目に止まる確率は低かったといえるでしょう。それでも、来場者の40%は「美術館にたまたま立ち寄った」方々が占め、何気なく入った「カブールの幽霊」展で衝撃を受けて帰路についたという人も少なくありませんでした。

これら長野の展覧会にあたっての大きな試みは、関連グッズの作成と販売でした。
画集『カブールの幽霊』、絵本『物語カブールの幽霊』(3巻)、Tシャツ(3色/3サイズ/10デザイン)、マグカップ、絵はがきなど、これらの収益金を《ファンタジー劇場キャラバン》の活動資金に充てるのが目的です。
関連グッズの中でも好評を得たのが、絵本『物語カブールの幽霊』→です。子ども、若者、老人など、さまざまな年齢層の方々が手に取って熱心に読んでいました。なかでも子どもの読者が目立ちました。
子どもの姿が多いのは、夏休みで家族連れが多かったせいです。しかし残念だったのは、自分の子どもたちを見ていない親が多いことでした。会場を訪れた子どもたちの多くは展覧会に興味を示していました。幽霊の絵を見たり、物語絵本を読んだり、会場で流されていたドキュメンタリー映像を食い入って観たり……。しかし、そんな子どもたちの目の輝きに気づかず、熱心に鑑賞している子どもをせかすのは他ならぬ親たちでした。「次へ行かなければ」という言葉でせかせれた子どもたちは、当然気もそぞろになります。なかには絵本を親にねだって断られたり、自分で絵本を買おうとして、親に止められたりする子どももいました。
そんな親の対応を見るにつけ、情けなく、暗鬱な気分にもなりましたが、なかには諦めない子もいたことを付け加えておかなければいけないでしょう。無反応もしくは消極的な親を説き伏せて絵本を買わせたり、最後までドキュメンタリー映像を見ていく子もいたのです。日本の子どもの「なかなかたくましい」部分を見せられた一場面でもあり、にわかに元気づけられもしました。
今回マスコミでの告知件数は8件、新聞4紙(信濃毎日新聞[長野]・信濃毎日新聞[松本]・朝日新聞・市民タイムス)、ラジオ3局、テレビ1局(NHK長野ニュース) です。
ただし、そうした反響の大きさに比例して来場者と収益金が募れたかと問われれば、その答えはNOです。 「夏休みに避暑地で開催」という理念で、多くの子どもたちを来場させるという目的は一応達成しましたが、一方で厳しい結果も引き出してしまいました。
現在、軽井沢に訪れる観光客の関心はもっぱら衣食のみ、彼らの軽井沢への旅行の中に「カブールの幽霊」展はあまりにも場違いだったようです。よって、必然的に関連グッズの売れ行きも当初の目論見がはずれてしまいました。
このように厳しい状況を体験をしたことで、長野の展覧会を通して確信したことは何かと問われれば、今後の展覧会をいかに実現していくか……、という課題が残されたことだと答えるしかないのかも知れません。
それでも、展覧会場でお預かりしたメッセージ→に込められた来場者のみなさまの真摯な思いに励まされました。来場して下さった方々をはじめ、「カブールの幽霊展」を支援して下さったすべての方々に、あらためてお礼を申し上げます。
誠にありがとうございます。



←return