カブールの自爆テロ事件について

現地時間、6月17日(日曜日)午前8時過ぎにカブールで発生しました自爆テロ事件において、皆様にご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。
キャラバン・ツアー参加者全員の帰国を待っての詳細としたく、本日27日(水曜日)の記者会見での内容と合わせて、今回の事件の被害状況、事件に対する我々の見解、および今後のわたしたちの活動の展開について、ここに改めてお伝えいたします。

まず、最初に申し上げたいのは、皆の命が救われたことへの感謝の気持ちです。
今回、自爆テロを受けた警察のバスからわずか5mほどしか離れていなかった場所での爆撃にもかかわらず、搭乗者全員の命に別状がなかったことを心から感謝しております。
また今回の爆発事件で子どもたちの犠牲者がいなかったことにも、救われる思いです。
さらには事件の対応にご尽力下さった、在アフガニスタン日本大使館員の方々に感謝申し上げます。
また、この事件を受けて大きなご心労を受けたにもかかわらず、キャラバン・ツアーに参加された皆様が終始、気丈かつ冷静にご対応下さったことにも大変救われました。
ツアーに参加された皆様のご理解とご意志に改めて感謝を申し上げます。殊に吉田様ご夫妻は心身の痛手が大きかっただけに、そのご覚悟には大変勇気づけられました。



今回の《ファンタジー劇場キャラバン》ツアーの日程は6月8日(金)〜22日(金)の2週間を予定しておりました。また、このようにツアーとして外の方々に向けて呼びかけましたのは、わたしたちにとっても初めての試みでした。
2006年からアフガニスタンにも不穏な空気が漂いはじめました。その状況を受けて、わたしたちもキャラバン行きを控え、「カブールの幽霊展」と題しまして、日本国内でアフガンの子どもたちが描いた幽霊の絵の展覧会を各地で展開しておりました。こうして一年半以上ものあいだ様子を見て参りましたが、アフガニスタンの情勢は良くなる見通しも、さらに悪くなる見通しも立ちませんでした。 しかし「このまま危険だから活動しない」わけにはいかない。そう判断しまして、今年6月、本格的に暑くなる前にキャラバンを実行することに決定した次第です。
今回、ツアーに参加された皆様も、わたしたちのその判断を踏まえた上でご同行下さったのは言うまでもありません。

実際、今年4月に参加を募り始めた時点で、在アフガニスタン日本大使館の方からお電話を頂き、ツアー日程の確認および注意勧告等を受けました。その点につきましては渡航前のオリエンテーションにて参加者の方々からも同意を頂き、結果、計7名の参加者となりました。
こうして今回のキャラバンは、Like Water Pressのスタッフ5名と合わせて計12名で始まったわけですが、うち3名は諸事情のために1週間後の14日(木曜日)に帰国され、後半1週間は9名での行動となりました。

現場での日程を申し上げますと、6月8日にパキスタンのイスラマバードに到着し、翌9日にカイバル峠を越えて、陸路でカブールに向かいました。
到着翌日には先に連絡を頂いた在アフガニスタン大使館に出向きまして、ツアー参加者の情報と我々の日程をご担当者にお伝えし、同時に再度にわたって注意勧告を受けました。特に強く注意されましたのはカブールからバーミヤンへの移動についてです。当初、我々は陸路での移動を考えており、その点を再検討してほしいとのことでした。
そのご指摘も判断の一つですが、バーミヤン帰省後に予定しておりましたメイン・イベントである「子ども週間/Children’s Week Kabul」(ファンタジー映像の上映&カブールの幽霊展)の準備にかかる時間も考慮しまして、結果的にはバーミヤン行きを断念いたしました。

さて、カブールでは、まずBagh-e-Dawoo国内避難民キャンプにてファンタジー映像の上映と靴のプレゼントを子どもたちに向けて実施いたしました。
その後、今回のメイン・イベントである「子ども週間/Children’s Week Kabul」を17日〜21日の5日間にわたってAfghan National Gallery(アフガニスタン国立美術館)にて開催する予定でおり、その準備にかかりました。
ちなみにこの展覧会は、現地NGOのACHIANA(アシアナ)、Afghan National Gallery(アフガニスタン国立美術館)、Ministry Information and Culture Afghanistan(アフガニスタン情報文化省)との共同プロジェクトとして計画されたものです。

事件発生の17日朝は、その「子ども週間」の開催予定日であり、記者会見とオープニング・パーティーが予定されておりました。その展覧会場に向かう途中、わたしたちは2台のミニバンに分乗しておりましたが、その1台が今回の自爆テロ事件に巻き込まれた次第です。もう1台は、わたしたちの記者会見に臨む予定だったEltamasという少女(わたしたちが学資支援している少女)を迎えに別行動をとっておりました。
爆撃を受けたミニバンには日本人2名、在日韓国人1名、パキスタン人スタッフ2名、およびドライバーとしてアフガニスタン人1名が搭乗しておりました。
スタッフの日本人女性・加藤不二(54歳)はかすり傷、在日韓国人男性・辻清石(金 清珍/65歳)は右耳に裂傷を負い、パキスタン人スタッフ2名(Shoaib Faiyaz/31歳&Talha Farooq/33歳)とアフガニスタン人ドライバー(Jawied/25歳)、そして今回ツアーに参加されました日本人男性(吉田信行氏/65歳)がそれぞれに重傷を負いました。
吉田さんのご容態につきましては、当初の所見では、全身打撲、右側上腕部骨折、及び切り傷を負われたとのことでした。現地病院で手術を受けられた後、カブール空港の敷地内にあるISAF(国際治安支援部隊)付属の病院に移送されてご容態をみておりましたが、6月25日に小型機で搬送され、日本に帰国されました。現在は日本医科大学多摩永山病院の救命救急センターにて治療中、3週間は絶対安静とのことです。
尚、吉田様ご夫妻のサポートをするため、Like Water Pressのスタッフ2名(加藤不二とShoaib Faiyaz)も帰国を延期して、同日に帰国いたしました。

事件の背景および現場の状況につきましては、事件発生から数日に渡って報道された→各メディアの記事を掲載させて頂きますので、そちらも併せてご参照下さい。




最後になりますが、今回の事件によって、アフガニスタンでの活動をわたしたちが諦めることはございません。
どのような形であろうと、どこかで<真摯な眼差し>をした子どもたちが、わたしたちのファンタジー映像を見る機会を待っているかぎり、この活動を続けて参ります。
但し今回の事件によって受けた体験と教訓、そして様々な反応を通して、今後の活動のあり方を再検討しつつ前進して参りたいと存じます。
殊に子どもたちが巻き添えになることだけは、なんとしても許されません。
しかしアフガニスタンでのわたしたちの活動は直接子どもに対してのものであり、その子どもたちを巻き込む事態だけはどうしても避けなければなりません。そこで、今後当面はアフガニスタンでの活動は控えたいと思います。ちなみに再開の見通しは、現地カウンター・パートナーである NGOのACHIANA(アシアナ)の判断を仰ぎつつ決定したいと思います。
よって、今後の活動としましては「カブールの幽霊展」を中心に展開して参ります。
日本国内で引きつづき開催して参りますが、国内に限らず、ニューヨークや他の都市でも同様の展覧会を計画しております。
そこで皆様にお願い差し上げたいのは、その会場のご提供と準備資金へのご協力です。
日本国内・海外を問いませんので、「カブールの幽霊展」を展開するご協力及びご支援を頂けますようお願い申し上げます。
「カブールの幽霊展」の評価と成功こそが、当面、相見えることのできないアフガニスタンの子どもたちの未来のための支援につながっていくことと信じております。
そして、わたしたちがこの事件を乗り越えて活動を続けていけますのも、わたしたちをご支持下さってきた皆様のお力添えにほかなりません。
ツアーにご同行下さった皆様、そしてご支援者の皆様に改めて心より感謝を申し上げます。
誠にありがとうございます。

今後とも、わたしたちの活動にご協力下さいますよう、あらためてお願い申し上げます。

2007年6月27日(水)
NPO法人Like Water Press
代表:陳 富子